2025年3月3日、韓国の大手新聞『中央日報』に、東京大学で学ぶ中国人留学生の増加と、日本進学における行知学園の役割についての記事が掲載されました。
東京大学の12%が中国人留学生に
記事によると、東京大学の全学生の12%にあたる3,545人が中国人留学生であり、この数は2014年と比べて約3倍に増加しています。特に、日本の大学入試制度の柔軟性や過度な競争を避けたいという中国の受験生のニーズが、日本進学の人気を高めている要因の一つとして紹介されました。
行知学園のサポートと成果
記事では、東京大学を目指す中国人受験生を支援する行知学園にも注目が集まりました。
- 2024年度の東京大学留学生試験合格者29人のうち、17人が行知学園の学生
- 大学院まで含めると、合格者は61人に達する
- 行知学園は、中国人留学生だけでなく、韓国人学生向けの教材も発行し、約20人の韓国人学生も学んでいる
行知学園の楊舸社長は、記事の中で以下のようにコメントしています。
「中国では1日16時間勉強しても合格できるかわからないほど競争が激しい。一方で、日本では複数の大学を受験できるため、合格のチャンスが広がる。日本で学ぶことで視野を広げ、将来の可能性を大きく広げることができる」
教育移住の増加と日本社会の反応
近年では、受験生本人だけでなく、家族ごと日本に移住し、教育を重視する「教育移民」も増えていることが指摘されています。記事では、東京都内の文京区や豊洲を中心に、中国人家族が居住を増やしている現状も紹介されています。
このような現象について、日本社会の反応は賛否が分かれており、「優秀な留学生が日本に活力をもたらす」という肯定的な意見の一方で、「日本人学生が競争に巻き込まれるのでは」という懸念の声もあることが取り上げられました。
行知学園は今後も日本進学をサポート
行知学園は、これからも中国・韓国を含むアジアの優秀な学生が日本の名門大学に進学できるよう、受験対策・日本語教育・進学相談を通じて全面的にサポートしてまいります。
本件の詳細については、『中央日報』(2025年3月3日)掲載記事をご覧ください。
📌 記事全文(韓国語):
https://www.joongang.co.kr/article/25317709
📌 記事日本語訳:
「中国では16時間勉強しても難しい…東京大学生の12%が中国人」
2月25日午前8時過ぎ。日本のトップ大学である東京大本郷キャンパスの正門前では受験生が数百メートルにわたって列をなした。この日、多くの人々の注目を集めたのは、カラフルに装飾された「東大必勝」の団扇を手にした、中国人留学生と日本入試対策塾「行知学園」関係者の姿だった。ある中国人受験生が顔を見せると、先輩たちは小型カイロを手渡し、中国語で「緊張しないで!」と言葉をかけた後、日本語で「頑張れ!」と送り出した。こうした様子は日本メディアが次々にカメラに収めた。
団扇を手にしていた朱明遠さん(22)は、東京大大学院を目指して昨年7月に来日した。広東省の大学を卒業した後、先輩の勧めもあって東京大を目指すことにした。日本での就職を夢見ているという朱さんは、この日初めて実際に東京大を訪れ、「アジアで一番の大学という感じ」と目を輝かせた。
東京大大学院を卒業し、行知学園で講師をしている福建省出身の李さん(25、女性)も東京大出身だ。近年、日中関係は良くないが、「日本人はすごく優しい。政治関係は気にしていない」と居心地の良さを感じている。
東京大を目指す中国人が年々増えている。東京大によると、2024年11月現在、外国人留学生5231人のうち、中国人は3545人(67・8%)で、2014年の1270人の3倍近くに伸びている。大学全体での比重も増しており、日本人を含めた全学生数2万9195人の12・1%を占めるほどだ。
行知学園の楊舸社長は「中国でも日本でも韓国でも、誰もが行きたいと思う大学は数えるほどだ。そこに中国では1000万人が挑戦するが、日本の受験生は50万人で、競争率は10分の1以下だ」と話す。中国の大学入試は、オリンピック選手などの特別な才能のある人は「保送」と呼ばれる特別選考があるが、一般の学生は韓国の修能にあたる「高考」の試験1回ですべてが決まり、1校しか受験できない。これに対し、日本では私立大なら何校でも受験可能で、国立大も留学生試験の場合は複数校の受験が可能だ。こうした事実が中国国内で広く知られるようになり、日本進学の志望者が急増している。行知学園の学生数は約3500人で、韓国語に翻訳した教材も発行していることから、韓国人学生も約20人いる。
楊社長は「中国では1日16時間勉強しても合格できるか分からないほどの過剰競争だが、受験勉強の知識はAI時代において将来役に立たない。経済的に余裕があるなら、日本に来て旅行をしたり、本を読んだりして知見を広げた方が良い」と日本留学の魅力を語る。東京大の2024年の留学生試験合格者29人のうち、行知学園の学生は17人を占めた。学部より大学院の方が比較的門戸が広く、大学院を合わせると61人もの合格者を輩出した。
コロナ禍の前後からは、「教育移住」も目立つようになってきた。子どもが幼い頃に家族そろって来日し、日本の名門大学合格を目指すというものだ。子どもをインターナショナルスクールに通わせるか、日本の小学校に通わせて日本語力を身に着け、日本人と同じ土俵で日本の名門中高一貫校への合格を目指すのが一般的だ。中国人生徒が急増し、中国人の受け入れ制限をしているインターナショナルスクールも出てきている。東京大のある文京区の小学校周辺の不動産を購入する中国人が増え、中国人のスタッフが常駐する住宅仲介業者がいるという報道もあった。
特に中国人の増加が目立つのは豊洲だ。豊洲のある江東区の中国人居住者は2024年1月現在、1万8639人に上っている。日本を代表する高級ショッピング街の銀座に近く、東京タワーやスカイツリー、東京湾が見渡せる。ここに高級高層マンションが立ち並ぶようになり、中国人富裕層の人気を得た。
豊洲は日本人の間でも教育熱が高い。難関中学に最も多くの合格者を出している塾「SAPIX」豊洲校は10人に1人を中国人が占めるようになったという。豊洲に住むある男子高校生の母親は「息子が通っている大手大学受験塾で、クラスに少なくとも4人は中国人がいる。中国人は本当にパワフルだ」とその熱心さに驚く。東京大の中国人学生の中には、留学生試験ではなく、日本人と同じ試験を受けて入学した学生も少なくない。
日本政府関係者は「中国を離れる人が増えている一番大きな要因は中国経済の低迷と、これによる若年層の就職難だ」と分析する。また、「顔つきが似ているので欧米などと比べると社会に溶け込みやすく、漢字を共有しているので日本に来てもあまり違和感がないのだろう」と見る。
1年半の間に100人以上の中国人に取材し、今年2月に「潤日(ルン・リィー)―日本へ大脱出する中国人富裕層を追う」とのタイトルで著書を出版したジャーナリストの舛友雄大さん(40)は、「コロナ禍に中国でロックダウンを経験し、(習近平)体制に疑問を抱いた人の中で、日本で教育を受けさせたいと考えている人が増えた」と分析する。舛友さんによると、「潤」とは2018年に誕生した言葉だという。激化する競争や就職難などで不安を抱え、局面打開のために中国を脱出して日本を目指す人々のことを「潤日」と呼ぶそうだ。
名門大の中国人学生の急増に対し、日本社会の受け止めは複雑だ。良い刺激になるという見方とともに、「(中国ほど)激しい競争に慣れていない日本人が、大学や就職で『席』を奪われかねない」という警戒感がある。
教育移民が可能なのは、日本の長期滞在ビザが、欧米などと比べて比較的短期間で発給されるようになっているという要因もある。2024年12月、岩屋毅外相が訪中し、中国人富裕層向けの観光ビザの緩和を表明すると、自民党右派からは不満が表出した。舛友さんは「子どもの教育のために日本に来ている親は日本語ができない人が多く、日本社会のルールを知らないため、知らないうちにトラブルになってしまうこともある」としたうえで「ビザ緩和への批判は、こうした日本人の反発が少しずつ表面化しているのかもしれない」と話し、日本社会の新しい動きに注目している。