コロナ禍における行知学園の東大留学生入試への奮闘

行知学園株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:楊舸)は主に中国人留学生を対象とする大学・大学院への進学塾、および日本語学校を運営する会社です。
今回は、行知学園株式会社 教務部 東大入試対策担当講師の蒋偉より、コロナ禍における行知学園の東大合格への奮闘についてお話いたします。

写真)講師蒋偉

行知学園の東京大学の外国学校卒業学生特別選考(以下、東大留学生入試)の合格者数は2019年度までは数名程度にとどまっていましたが、難関校別の特訓クラスを設置し、学校別の指導を行うようになりました。その結果、コロナ禍で入国が制限され、例年に比べ生徒が約半数減っているにもかかわらず、2020年度は合格者の6割、2021年度は7割が行知学園塾生と、他塾を圧倒する合格実績を誇っています。

―「行知学園の東京大学留学生入試対策クラス」
今年、東大留学生入試の合格者26名のうち、文科1類5名、文科2類4名、文科3類7名、理科1類6名、理科2類4名の計18名の約7割の合格者が行知学園の塾生でした。
ここ数年、難関校への合格実績や多数の教材の出版などにより、行知学園は中国国内や日本留学業界において、着実に知名度を高めて参りました。地道な広報活動も功を奏し、日本語学校、進学塾の在学生のほか、東大入試対策の授業に参加する成績が優れた生徒が増えています。
また、行知学園の教材が韓国でも発売されるようになり、それをきっかけとして、2019年より毎年、東京大学を志望する韓国人留学生も数名入ってきています。

―「ある一人の生徒の話」―
米国の高校を卒業した後、来日して日本語学校に入り、日本の大学を目指して受験勉強を始め、東京大学文科3類に合格することができた中国人留学生の王さん(仮名)がいます。
高校時代アメリカで過ごした王さんは、世界大学ランキングトップ10に入る大学に合格できると言われていたようですが、コロナ禍において、米国ではなく日本の大学への進学を希望しました。
東大留学生入試は日本語以外に、一次選考の書類や学力の審査だけでなく、二次選考の小論文、三次選考として面接があり、元々米国の大学への進学を目指していた王さんにとって一から日本留学をやり直すことは容易ではありませんでした。
二次選考では、文理を問わず、2問の小論文が出題されます。専門知識も必要ですが、文科3類では特に深い思考力と文章の論理性が求められます。また、内容や構成などに留意しつつも、過不足なく明確な目的やバックグラウンドとの接点や整合性を論じることが重要です。
王さんは前述のとおり知識も思考力もあります。ところが、他者に分かりやすい文章とは何か、つまり読みやすい文章の基準を理解したうえで、文章を作成することに苦戦していました。
最初のうちは、書きたいことに主題を置いた結果、小論文の構成やトピックセンテンスなどを特に意識せずに書いていました。また、これまでの中国、アメリカでの成功体験が邪魔をして、自信過剰ととられる語句や大げさな表現、また美辞麗句を並べ無難な文章になる傾向がありました。

―「行知学園の東京大学留学対策クラスの強み」―
行知学園には2009年より難関校への進学を目的としたクラスがあり、特に、東大志望者に向けて、蒋偉のほか、営業担当、進学指導担当、日本人講師など、複数のスタッフが対応する体制が整っています。
王さんのような文章の傾向は、優秀な中国人留学生に多くみられるもので、中国人留学生の独自の文章の表現の癖は、毎年、数百人を超える小論文の添削経験を積み、入試で求められる表現の強弱や良し悪しを理解している専任講師だからこそ、学生に的確にアドバイスやポイントを伝えることができます。もちろん、言葉だけでは伝わらないこともあるので、過去の生徒が書いた良い小論文を見せて、より良い小論文とは何かを体得してもらうこともあります。
また、授業外でも、Wechat(中国のメッセンジャーアプリ)を使って、何回も添削を繰り返し、具体的なコメントとアドバイスを行ったほか、オンラインで何度も模擬面接とフィードバックを繰り返し行いました。このような学生一人ひとりへの細かな指導により、結果的に王さんは、見事、東京大学文科3類の合格を勝ち取ることができました。

写真)講師蒋偉と学生との対話

―「行知学園だからこそ学べる価値を提供し続ける」―
行知学園の指導ポリシーの一つとして、学生一人ひとりのきめ細やかな学生指導を行い、生徒と信頼関係を構築することが重要だと考えています。特に現在の中国人留学生は、両親からの強い期待を背負い来日した学生も多く、コロナ禍のなか一人見知らぬ異国の地で精神的にも不安定になる生徒が多いです。生徒からの信頼を得られないとどんなに教え方がうまくても、生徒が聞く耳をもたないことがあります。受験勉強は、学生と先生が信頼関係を構築し、目標を一つにし、二人三脚で初めて合格を勝ち取ることができます。学生一人ひとりの志望校に合わせたクラス編成、カリキュラム、学生のニーズに合った指導方法が、今日の行知学園の高い合格率に繋がっていると確信しています。
コロナ禍において、オンライン留学が今後増えるかもしれません。しかし、従来の留学に一定の意義があると我々は考えます。他国に出向き、自分の目と耳と肌で多種多様な景色を感じ、情報を分析し、選択肢を考え、正しい道を判断する力を身に着ける。さらに他人の立場に立って他人の成長背景を「トレース」する器用さも身に着ける。現地の国で暮らしてみないとできない経験は無限です。単に言語能力を身に着けるだけではなく、自分の考えと異なる他人の立場を分かろうとする心の成長が期待できるのが行知学園が考える留学の意義です。
そのような留学生を日本の大学・大学院、また社会へ送り出すことが行知学園の使命だと考え、変化し続ける世の中にも柔軟に対応しながら留学生に質の高い授業の機会を提供し、社会の発展に貢献するべく、今後とも努力を重ねていきます。

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