教室を越えて、「ことば」が“生きる力”になる瞬間
2025年8月28日(木)、行知学園の外国人留学生17名が、東京都北区にある聖学院中学校・高等学校を訪問し、同校の高校生との国際交流プログラムに参加いたしました。
行知学園における日本語教育は、単なる語学スキルの習得を超え、「ことばを通じて他者とつながり、自らの存在を社会の中で位置づけていく力」を育むことを目指しています。
私たちは、生徒一人ひとりが“生きた日本語”を用いて他者と誠実に向き合うことこそ、次代を担う人間形成において不可欠な経験であると考えています。
このたびの交流は、まさにその教育理念を体現する学びの場となりました。
■ 外国人留学生にとっての“学びの本質”とは
異国の地で日本語を学ぶ行知学園の留学生たちにとって、同世代の日本人高校生と直接ふれ合い、共に考え、語り合う経験は、単なる言語練習を超えた“人格的成長”の機会です。
- 「伝えるために話す」ではなく、「伝わることでつながる」日本語の実践
- 自分と異なる考え方・文化背景を持つ相手への敬意と理解
- 相手と向き合うことで生まれる、自己認識と他者受容の深化
こうした要素が、本学園の教育が目指す「ことばを通じた共生の力」として、確かな実感となりました。
■ プログラム概要
◎ アイスブレイクによる対話
「日本に来て驚いたこと」「母語との違い」などをテーマに、日本語での自己紹介・対話を実施。言語レベルの差を超えて、心の交流が自然と生まれる時間となりました。
◎ 探究型ボードゲーム「Grow Tree」
聖学院の生徒が制作した、社会課題を協働で考える探究型ゲーム「Grow Tree」にグループで挑戦。文化や言語の違いを越え、共にひとつの課題に取り組むプロセスそのものが、深い学びの体験となりました。
◎ 校内見学
礼拝堂やファブラボなどの教育施設を見学し、日本の学校文化や空間の在り方に触れることで、言語だけでは伝えきれない“学びの哲学”にも触れる機会となりました。
■ 留学生たちの声
「私の日本語はまだ完璧じゃないけれど、皆さんが“ちゃんと聞いてくれる”ことが嬉しかった」
「わからない言葉もあったけれど、表情や姿勢で“わかろう”としてくれて、心がつながった感じがしました」
「教科書での勉強だけでは学べない、“人と人の間にある日本語”を感じることができました」
■ 教職員からのコメント
「外国人留学生にとって、日本語は単なる学習科目ではなく、“社会とつながるための扉”です。今回のような実践的交流を通じて、学びのモチベーションは何倍にも膨らみます。
行知学園における日本語教育は、“文法の正確さ”や“試験の点数”に留まりません。留学生たちが“社会の一員”として自己を表現し、相手の立場に立って考え、自らの文化を誇りに思いながら異文化と交わること──まさに、今回の交流はその教育理念を体現するものでした。
行知学園では今後も、“ことばと人間性の教育”を軸に、交流・連携の機会を積極的に創出してまいります。」
■ 今後に向けて
行知学園では、今回の取り組みを一過性のイベントではなく、教育カリキュラムの一部として継続・発展させていく方針です。
- 探究学習型・対話型プログラムの体系化
- 高校・大学・地域との連携による「学びと実社会の接続」
- 外国人留学生と日本人生徒が共に育つ“共創型の教育環境”の構築
こうした取組を通じ、私たちは今後も、言語・文化・国籍を越えて“未来を共に創る人材”の育成に邁進してまいります。
本プログラムの実施にあたり、多大なるご協力を賜りました聖学院中学校・高等学校の先生方、生徒の皆様に、心より深く感謝申し上げます。
🔗 聖学院中学校・高等学校による本交流の紹介記事はこちら:
https://www.seigakuin.ed.jp/news/n57351/